映画『サイレントヒル:リベレーション3D』感想(ネタバレ&あらすじ有り)

サイレントヒル:リベレーション3D とは

サイレントヒル:リベレーション3D
(原題:Silent Hill: Revelation 3D)
日本公開日:2013年7月12日

記憶に無い謎の街「サイレントヒル」の悪夢にうなされ続ける少女。
そんなある日、唯一の肉親である父親が失踪。少女の目の前には血で書かれた「サイレントヒルに来い」という血文字が。
そして少女は濃い霧に包まれたある街に足を踏み入れる。

コナミから発売されているホラーゲーム「サイレントヒル」の実写映画。 2006年に公開された「サイレントヒル」の続編第二弾で、3D映画となっています。 既にアメリカでは去年の10月に公開されており、日本はそれに遅れること約9ヶ月弱での公開になっています。

ネタバレが含まれます

これ以降は作品の内容に深く関係する記述が多く含まれます。

本編のあらすじ(ネタバレ)

サイレントヒルの裏世界から戻り、何年もの月日が経った。

成長したシャロンと父親のクリスの二人は逃亡生活で各地を転々とし、シャロンは祖母の名であるヘザー、クリスはハリーと名乗り、ひっそりと暮らしていた。

ある日、ヘザー(シャロン)は身に覚えの無い街を彷徨う悪夢を見て目が覚める。

そして、父親のハリー(クリス)から誕生日プレゼントに白いベストをプレゼントされる。
しかし、それはヘザーが夢で追われていた時に着ていたものと一緒だった。
戸惑うヘザーだったが、貧しい暮らしの中での父親からのプレゼントを素直に喜び、それを着て学校へ向かった。

家でハリーはヘザーがサイレントヒルの裏世界から戻ってきた時の事を思い出す。

ヘザーの母親であるローズは「娘を守って、奴らに手に渡してはいけない」と、サイレントヒルへ消え去り、そこには裏世界から戻ってきたシャロン(ヘザー)の姿が。
シャロンは記憶を失っており、何も覚えておらず、ハリーは事故に遭って母親は亡くなったと告げた。

一方、ヘザーが学校へ行く途中、怪しい人物ダグラスと出会う。

転校生として紹介されたヘザーは幾度の転校にクラスメートには心を閉ざし、周りから変人扱いされ、しかしそれにもめげず、立ち向かうヘザー。
そんな姿に心を奪われるクラスメートのヴィンセント。

そしてヘザーは校門前で張っていたダグラスと目が合い、ヘザーはハリーへ電話。
ハリーはショッピングモールで落ち合う約束を付け、家を出ようとしたとき、何かが家へ入ってきて襲われてしまう。

そしてショッピングモールでハリーを待つヘザー。

そこで裏の世界へ。
そこにやってきたダグラスに追われ、裏世界の中逃げ惑う。

追い詰められたヘザーは、向かってくるダグラスに敵意を見せる。
ダグラスは、私は雇われて君を調べていると。
ダグラスはヘザーの過去のことや、ハリーにウソの記憶を付けられたと。
母親は事故死ではなく、サイレントヒルで君を救い出したと。
その瞬間ダグラスの、背後にクリーチャーが。

クリーチャーに指を切られたダグラスをエレベーターへ引き釣り、扉を閉め、ダグラスに全てを教えて!と迫るヘザー。
だが追ってくるクリーチャーにダグラスは殺されてしまう。

何とか逃げ切ったヘザーはヴィンセントと出会い、自宅へ。
家には荒らされた形跡と壁に血で「Come to SILENT HILL」の文字が。

警察にはどうしても通報できない!と言うヘザー。
ハリーが隠していたものを物色し、そこから大きなメダルを手に入れ、拳銃を装備。
そこに警察がやってくる。

ヘザーはヴィンセントに助けを求め、二人は車でサイレントヒルへ向かうことに。

サイレントヒルへ向かう車内で、父親からの手紙やサイレントヒルの秘密などを知る。
そして道中でホテルに寄り、休憩。

そこでヴィンセントは自らがサイレントヒル出身で、ヘザーを追っている教団の一人だと。
自分はそこから派遣された者であると明かす。
ヴィンセントはヘザーと共に居て、教団の考えは間違っていると気づいたと告げる。

父親のハリーは生きており、サイレントヒルに居ることを知り、裏世界へ。
そこでクリーチャーに襲われ、連れて行かれるヴィンセントと気を失うヘザー。
目覚めたヘザーは歩いてサイレントヒルへ。

サイレントヒルにやってきたヘザーはアレッサの母親であるダリアと出会う。

そんな時に裏世界へ。
建物の中へ逃げ込んだヘザーは人形だらけの部屋へ迷い込む。
不気味な人形だらけの中でクリーチャーに追われるが何とか逃れる。

一方教団の元へ戻ったヴィンセントは教団の団長である母親のクローディアに我々を裏切ったと尋問を受ける。
ヴィンセントはヘザーの潔白を証明するが、聞かないクローディア。
この闇はアンタが作ったとクローディアに言い放ち、ヴィンセントは精神異常と見なされて連行される。

んでなんやかんやあって、バブルヘッドナース達が居る部屋に連れてこられたヴィンセント。

動けない状態の中、そこにヘザーが。
ヴィンセントを助け出し、やってきた先は冒頭の悪夢の中に出てきた遊園地。

追ってきた教団員の囮になたヴィンセント。
そしてメリーゴーランドに逃げ込んだヘザーはそこでアレッサと出会う。

ヘザーはアレッサに殺されそうになるが、分身である身は殺せない。
アレッサは仕方なく もう一度一つになる と、ヘザーの中へ一体化。

そしてヘザーは捕らわれている父親とクローディアの元へ。

そこには同じく捕らわれているヴィンセントが。
アレッサは大きなメダルでクローディアのクリーチャーの姿を露わにさせる。

クリーチャーに襲われそうなところで△が登場。ヘザーを守る。

クリーチャーと△の激闘。
△さん勝利で、ヘザー達はサイレントヒルを出る。

しかしハリーはサイレントヒルに残り、母親のローズを探すと言い二人と別れる。

ヘザーとヴィンセントはサイレントヒルを後に。
入れ違うように警察車がサイレントヒルへ。
そして灰にまとわれるサイレントヒル。

でエンディング。おまけ無し

感想とか

勝手に採点

一人で観る 1.5
友達と観る 1.0
デートで観る 0.0
お子様と観る 0.0
怖さ 1.5

採点ポイント

ゲームのサイレントヒルを知っているほど、疑問が残る作品でした。

全体的にモンスター映画となっており、サイレントヒル本来の恐怖はありませんでした。

監督含め、製作スタッフが大きく変更になったのですが、前作の続編として一部キャストなどを繋いでいます。 なので登場人物や設定などはかなり引き継いでるので、前作を見ないと分からない部分が多いです。

グロ要素が多いので、耐性の無い人には辛いかも。

6年越しの続編

やっと と言うか、製作が決まったと言う噂を聞いてから何年待ったことか。
前作から6年(日本では7年)を経ての公開です。

前作の雰囲気と映像美に心打たれて、当時全く普及してなかったブルーレイ版を買ったほどのファンだったので、続編をこれだけ待たせたのだから仕上がりにも期待してしまいました。

とにかく前作の映画サイレントヒルはとても素晴らしい作品でした。

ゲーム版との関連部分

今作はゲーム版サイレントヒル3の要素を多く取り入れています。

まず登場人物として、前作の娘をヘザーに再設定。父親をハリーにするなどゲーム版サイレントヒル3に無理やり合わせています。他にはダグラス、ヴィンセント、クローディアも登場します。

前作は原作ゲームの設定に縛られすぎず、オリジナルストーリーとして構成したからこそ、サイレントヒルの世界観と雰囲気を映画として成立させられたと思っています。

今作は大きくゲームの要素を引き込んでおり、それがかなり影響した内容になっていました。

あっさり・グロ三昧

全体を通してスゴくあっさりしてます。
全てが淡々と進んでいくので、ハラハラ ドキドキ感をあまり感じませんでした。

ホラーと言うよりただ単純にグロテスクな描写を沢山見せられただけ。
私に言わせればホラー要素はほとんど無いです。もはやただのモンスター映画と言ってもいいほど。

サイレントヒルの街自体も、前作は街全体を駆け回り、「あそこでもない、ここでもない」と街中を走り回っていたのに比べて、本作は目的地にワープするような単純なシーン割りなので、非常にこぢんまりとした街に見えました。
街自体も人を襲うクリーチャーが沢山いる様な絶望感も無ければ、不気味な雰囲気も無い。

映画と言うよりアトラクション

今作は3D作品と言うことで、3D立体視の飛び出しを意識しているカットも非常に多く、クリーチャーが出てくるシーンでは、その世界のキャラクターに対して襲いかかるのではなく、カメラに向かってこちらの世界の観客を脅かしてくるので、対象への殺意というものが伝わってきませんでした。
映画と言うよりアトラクション感が強かったです。

故にクリーチャーの恐ろしさも弱くなっており、加えてCGの作りも結構雑で演出もどこかB級臭が⋯。

設定を無視した演出

そんなクリーチャー達の恐ろしさが薄いのが結構問題で⋯

終始「敵に見つかった!」→「にげろ!」とただ走ってクリーチャーを淡々と交わしていくだけ。

この世界の攻略法を熟知した人が淡々とゲームをクリアしていくプレイを見せられているかの如く、クリーチャーと対峙しても、すぐに逃げてしまうので恐怖をほとんど感じられませんでした。

特にナースが大量に登場するシーンでは、主人公は全く恐れることなく、無視してただ逃れ走り抜けるだけで終わってしまう。
サイレントヒルを象徴するクリーチャーがただの背景と化しており、存在する意味も感じられませんでした。

あの独特の恐怖体験が完全に死んでいます。

これじゃあドキドキ感も何も無い。

うさぎのロビーも出てきたと思ったら本当にただのマスコット扱い。
シリーズを通じてチェーンソーなどの武器を持って襲いかかってくるイメージが定着しているキャラクターなのに、予算の都合なんですかね。今作では小さいロビーがゴソッとただこっち向くだけの動きしかせず残念。

特にラストでミショナリーっぽいクリーチャーと△が戦うのですが、△ことレッドピラミッドシングはゲームにおいては、主人公の罪悪感と自罰欲求が生み出した存在で、主人公を追い詰め恐怖を与え続ける「自身の罰と贖罪の象徴」として描かれてきました。

これが映画版では独自の解釈として守護者的な存在として描かれていた⋯という解釈はまぁ100歩譲って理解しました。
しかしその結果、ラストでは主人公の味方のように颯爽と登場して、ラスボスと対決。このシーンでサイレントヒルという作品が積み上げてきた「得体の知れない恐怖」と「恐怖の象徴となるべき存在」を壊してしまったように感じました。

ラストの大盛り上がりをクリーチャー同士の激しいバトルで作ろうとしたためにこうしたのか。
どちらにせよ終盤に向かうほど怖く不気味になるのではなく、終盤はホラーやサスペンスとしての緊張感などは完全に消えて、メッセージ性もないただのモンスター映画になってました。

これらから全体的にサイレントヒルの醍醐味であるクリーチャーの恐怖が本当に“おまけ”になってしまっているように感じました。
言うなれば「主人公VS教団 とその他愉快なクリーチャー達」って感じです。

ごちゃごちゃストーリー

ストーリー構成も最悪でした。

前作はオリジナルストーリーで上手く構成されていて、その続編なのにすべてを無視して、ゲーム版サイレントヒル3の設定をかいつまんで混ぜて、訳が分からないことになってます。

全体的にサイレントヒル3の内容を取り入れすぎて映画版としてのサイレントヒルの本質を失ってる上に、それぞれのキャラクターも全然理解できてない製作サイドにガッカリです。
ゲームキャラクター出しとけばファンが単純に喜ぶとでも思ったのでしょうか。

最後にハリーがサイレントヒルに一人残るシーンは続編への伏線なのだろうとは思いますが、個人的には説明が足りなすぎて置いてけぼり感が強かったです。

無理やりサイレントヒル3の要素を入れるだけ入れて、最後は「回収しきれなかった部分は次回作でよろしく!👍️」と言わんばかりの始末。

問題はゲーム版サイレントヒル3がゲーム版サイレントヒル1の直接続編であるのに対し、前作映画はゲーム版サイレントヒル1をベースにしながらもキャラクターや設定を大幅に改変した独自の作品だという点。
そこからゲーム版の世界に引き込もうとした結果、設定の歪みが起きてしまうのは当然。

これがこの作品の根本的な違和感の原因だと思います。

作り手の愛情の無さ

上にも挙げたように、恐らく製作サイドは前作の映画内容と、ゲーム版サイレントヒル3の”あらすじだけ”を少しかじって作ったんだろうなーと、そう思ってしまうぐらいの完成度でした。

本作は前作を手がけたクリストフ・ガンズから監督がマイケル・J・バセットに交代しています。

予算が減った問題も大いにあるでしょうけど、両作を見ると改めて、前作を監督したクリストフ・ガンズがいかにサイレントヒルを愛していたかが実感できます。
今作はサイレントヒル本来の恐ろしさというものが全く捕らえられていませんでした。

アレッサがいきなり成長するシーンとかマリオがキノコを食べた瞬間を彷彿とさせる演出は笑えるほど陳腐(見れば分かると思います)。
その成人アレッサのメイクも不気味さと言うか何かお笑いコントのメイクみたいなもので。

不気味さが全く無い!

サイレントヒルの世界観について

そもそもサイレントヒルというシリーズの核心は、「訪れた人物の内面やトラウマが世界として具現化する」という点にあります。
だからこそ登場人物ごとに異なる恐怖が生まれ、その人物の内面に引きずり込まれていく。

前作映画はローズとシャロン/アレッサの関係を軸に、この構造を独自の形で上手く再現できていました。

しかし本作はクリーチャーも世界の歪みも「ただ怖いものが出てくる場所」として消費されてしまっており、「人物の内面から生まれる恐怖」というものやメッセージ性が薄れていました。

これもこの映画がサイレントヒルの核心を失っているように感じた一つだと思います。

キャスト陣には拍手

演じてるキャスト陣は良かったです。

ヘザー/アレッサ役が前作のジョデル・フェルランドから変更されてしまったのは残念でしたが、今作から起用されたアデレイド・クレメンスも主人公らしさがあり、良かったです。

他のキャスト陣もハマっており、キャストに恵まれ、内容に泣いた。そんな映画です。

続編について

第3弾があるなら今までの設定は捨ててリブートして欲しいのが本心。
アメリカでも今作は不評の嵐で大コケに終わったみたいなので、これ以上の続編は望めないかも知れませんが。

色々残念な作品でした。

ただし前作の映画サイレントヒルはとても良い作品でした。前作だけを見ましょう!

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